【極限の世界】プロとアマの最大の違いは「再現性」。どれだけ「1球の質」がよくても「その質を続けられるか」

なぜ、工藤公康は224勝できたのか。
そして、30代以降も120勝以上できたのか。

(出典:https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784046000231

 

1軍登板は1試合のみ 2015年のドラフト1位・高橋純平の苦しみと決意

プロとアマの最大の違いは「再現性」である。たとえばプロが90点の球でアマが100点の球を投げたとする。その1球だけを見れば後者が優れているのだが、アマレベルの選手はその球を続けられない。10球に一度、いや3球に一度でもプロ野球で通用するとはいえない。それは野球だけに限らず、料理の世界などでも同じだろう。

(中略)

「4年目になります、高橋です。昨年までの自分は色んなことに挑戦しましたが、少し迷ったような形で終わってしまいました。もしかしたら、(今年で)最後という危機感を持ちながら、毎日を充実させていきたいと思っています」

(引用:http://bunshun.jp/articles/-/10854 )

 

2月24日、ソフトバンクホークス2015年のドラフト1位・高橋純平選手(現在21歳・岐阜県立岐阜商業高等学校出身)が4年目を迎えた様子について触れる記事がありました。高校からドラフト1位という最高の評価、もの凄いボールを投げられる素晴らしい肉体、ポテンシャルを持った抜群の選手でも、プロの世界ではまだ1勝にとどまっている状況について、いったい何故なのかに触れています。記者は記事の中で「再現性」の差であるといいます。

 

1球だけを見ればアマの世界でも、もの凄い球を投げる選手はいる。しかしアマの選手はその球を続けられないといいます。10球に一度、いや3球に一度のペースでそのボールを投げられるというものでは、プロのレベルで通用するとはいえないという厳しいもの。プロは究極の世界でもあるのでこの「再現性」がアマチュア選手達が学生時代では体験したことのないほどの高次元、精度なのでしょう。

 

■たとえ1球でも甘いコース、質の悪いボールがあればまず打ち損じてくれない世界

ボールの質、動作の「再現性」がプロレベルに達しないことが大きい差になってしまうのは、やはりプロの打者が凄すぎるが故でしょう。たとえ1球でも甘いコースや質の悪いボールがくれば待ってました!と言わんばかりにまず打ち損じてはくれず、確実にホームランにしたりヒットにしてくるからなのだと思います。

ものすごいボールがたまに来る程度のものならばある意味意図的にファールで粘り、投手の再現性が低いが故に来る甘い球を狙い振りぬくこともできるのです。投手からすると、甘い球や狙った球ならどんなにスピードが早くても打ち抜けるという打撃技術を持つプロ打者達をしとめ続けるのは容易ではないのは想像できます。

 

そのレベルに対抗するには、やはりこちらもボールの質や動作を圧倒的な再現性にしておきながら、さらに投球術や心理戦を有利に組み立てていきたいところ。この動作の再現性がなくてはイメージ通りに打者を攻められず苦しむ事になるはずです。

 

もし相手がアマチュアチームであれば、打ち損じたり見逃したりしてしまう可能性はプロの打者よりも圧倒的に大きくなるため、結果、10%や30%の確率で投げれる指にかかった自分の持つ最大ポテンシャル、もの凄い力のあるボールを放てば十分に3振をとったり無失点が可能でしょう。レベルが上がるほど「再現性」を高める事が、良い結果を生む事に繋がる大事な要素だという事がわかります。

 

なぜ工藤公康は224勝を挙げられたのか

たとえば、投げるためには、大胸筋や三角筋などボールを投げるためのパワーを生む筋肉だけでなく、それらの筋肉の内側にあって関節を安定させる棘(きょく)上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋など肩の小さな筋肉や、股関節の周りにある小さな筋肉の働きが極めて大切――などを知りました。

(中略)

プロ野球の世界だけにとどまらず、「外側」にも好奇心を持ち動き続ける中で、野球に必要な身体の知識(トレーニング方法や筋肉、関節の動きなど)を学び、40代になっても20代の若手選手に負けないだけの“体力”を手にすることができたこと――。これが長く現役を続けられた大きな要因だと思います。

(引用:https://toyokeizai.net/articles/-/23178)2013/11/05

 

また、現在ソフトバンクホークスの監督である工藤公康さんは48歳で現役引退を表明したわけですが、「動作の質」において高い「再現性」をこれほどまでに維持してこれたのは、自らトレーニング理論を学び、様々な筋肉の強化が大事であることを日々学んでこれたからだと過去に語っています。

 

10年以上前になりますが工藤さんはかつてTVの取材の中で、「いつでもアウトコース低めに3球続けて完璧なストレートを投げられるか」これが僕の中の(プロレベル)の一つの指標になる。という様な事を言っていたことを思い出しました。プロは「再現性」の最高レベルの追求。野球に限らず通じるこの厳しさ、さすがプロの世界で戦う人達だなと感じますね。