力まなくてもホームランが狙える!「サイクロイド曲線」を描く野球スイングとは!

 アプリやセンサーなどスイング解析機器の進化によって、感覚や言葉で解説、指導していた野球スイングがデータに基づいた内容での解説、指導が主流となってきました。ただ、実際に理想のスイングデータや理論を知ったところで、自身のスイングデータを取得する設備を手に入れる難易度や、自身のスイングをどのように変えていくかの方法、そして自分が持っていたスイング長所(例えば低め打ちが上手いなど)が知らず知らずのうちに消えてしまうのではないか?といった不安など様々な課題も存在しています。

しかし、最速かつ長打を狙えるスイング軌道というのは普遍的な技術であり、ホームランや長打など最も得点力が期待できるものであるため習得しておきたいところです。今回は物理法則に基づいたスイング理論「サイクロイド曲線」についてご紹介していきたいと思います。実際に「なぜプロや好打者はあんなに力まない当てただけのようなスイングでもホームランやあんなにも遠くまで飛ばせるのか」という疑問が生まれるような華麗なホームランシーンを度々目にします。これはボールの軌道に対して、力まないバットの物理落下を利用したスイングでボールに対しベストな「タイミング」と「角度」でバットを当てているということ。すなわち「サイクロイド曲線」を利用したスイングだったからあれほどまでに飛んだ。という事になります。

 

まず、サイクロイド曲線とは、円を転がしたときに円の外周の一転を繋げていったときにできる曲線のことを言います。
Cycloid animated
引用元:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cycloid_animated_.gif

一般的に、このサイクロイド曲線を説明する際に滑り台をイメージした図が用いられます。

この3本線の中で一番早く滑ることができる線はどれかというとCのサイクロイド曲線になり、1番遅いのはBの直角型の線になります。

(出典:https://www.gen-ten.jp/blog/201907_88143/)

 

■好打者のスイング映像

参考に、プロやアマチュアの好打者スイング映像を集めましたので是非ご覧ください。サイクロイド曲線を利用しながらバットを加速させて、うまくミートしています。結果、すばらしい打球の飛距離を得ています。

 

 これらのように、プロ野球選手や好打者は、あまり力まずともバットが素晴らしくよく振れており、結果、遠くまでボールを飛ばす飛距離とミートの正確性の両方がとても高いことがわかります。このパフォーマンスの高さは、やはり「サイクロイド曲線」のスイングを習得していることによって高まっているということになりますが、「サイクロイド曲線」のスイングには、2つの良い面がありパフォーマンスを高めていますので簡単に確認しておきましょう。

 

■サイクロイド曲線でスイングすると得られる2つのメリット

その1:小さな力で最高のヘッドスピードを生み出すことができる

 サイクロイド曲線は物理において最急下降線という性質を持ちます。つまり野球スイングに置き換えると、この曲線通りに振ることができると最高スピードでスイングができヘッドが走るということです。たとえば、プロ野球などでチェンジアップでバッターがタイミングをはずされても、バットを合わせ当てるだけの力感でホームランになったりするのはこのためです。

 

その2:同じリズムでスイングができるため、ミートしやすくなる

好打者は、速い球でも遅い球でも、トップ位置から同じようなリズムでバットを振りだして確実にミートしていくという特徴があります。サイクロイド曲線はどの地点から物体が引き落とされても、同じタイミングで終着点に辿り着くという性質があります。そのため、打者はボールが来るスピード予測から、自身のスイングの開始タイミングを決定することで、イメージ通りのボール位置とバット位置でミートしていくことが容易になります。もし、振り出しからインパクト位置までそもそもの自分のバットが移動するタイミングがバラバラすぎると、ボールに合わせる事がしにくいため、空振りや凡打(打ち損じ)になりやすくなります。

最後に:サイクロイド曲線を利用したスイングを体得するには

最後に、サイクロイド曲線を利用したスイングを体得するための方法をお伝えします。

①自身のスイングをスマホなどで撮影し見てみる。

②プロなど好きな好打者と自分のスイングを比較してスイング軌道がどのくらい違うかを見てみる。

③バットにサイクロイドスラッガーを装着して、重力を利用したバット加速で無駄な力を抜きながら振ってみる

④バットにサイクロイドスラッガーを装着したまま、自身のスイングを撮影しスイング軌道を見てみる。

⑤サイクロイドスラッガーをはずして、同じようなスイング軌道で振れるように、素振りやバッティング練習をしていく。

⑥定期的に①~⑤を行ってみる。

過去の自分との違いを映像で見ると、成長していることもよくわかり、日々の練習が楽しくなります!