【解説】野球スイングにおける「理想イメージの波形」と「悪いイメージの波形」 

実際に選手のスイング加速波形(X軸、Y軸、Z軸)を記録していったときの疑問点として、「どのような波形を理想イメージ」として目指せば良いのか? という疑問があると思います。また、その理想イメージがわかったとき、実際の波形に対して具体的に「どこをどうみて評価すればいいのか」があります。

今回はその2点について解説していきます。最後に悪いイメージの波形を見て実際に評価していきましょう。

 

■理想の波形イメージ(スイング6回)

今回はスイング6回を計測したと仮定します。まず、結論からいいますとアビリティトレーナーではこの形のような波形が野球スイング動作時おいて理想イメージになります。6回、下にピョンと波形のX軸(青)とZ軸(赤)が突き出しているがわかりますでしょうか? とてもシンプルな波形にみえますが、実際にこのような波形をスイング時に再現するがとても難しい事は実際に計測するとすぐにわかると思います。

※加速している = 波形が突き出している。

 

■各波形の加速ポイント

各波形ごとにポイントをみていきましょう。

Y軸(緑)はなるべく加速させない方が良い

X軸(青)は加速できた方が良い

Z軸(赤)は加速できた方が良い

この3つが組み合わさると、理想イメージになります。他にも重要なポイントがあります。

 

■【解説】X軸(青)とZ軸(赤)は同時に加速させると良い!

単純に、X軸(青)とZ軸(赤)を加速させることができれば良いのですが、加速のタイミングがあります。それはなるべく同時の方が良いのです。なぜなら下半身と上半身が連動してスムーズに動いていると評価することができるためです。逆にそうならないバラバラに加速しているように見えるケースがあるのですが、それは何故悪いかというと、たとえば下半身の力がうまくバットに伝わらず、手打ちになってしまっているようなパワーロスや、金属バット特有のぶつけるだけのバッターになっている可能性が高いのです。実際にそのような打者だと加速がバラバラに発生しX軸とZ軸は波形レポートとして数ミリずれ表現されてくるという特徴があります。本質的な動きの加速、スイング力を身につけることで、より鋭い打球やホームランを打てるようになるでしょう。また大学や社会人、プロなど上のレベルで野球をする場合にも、飛ばない木製バットの壁に苦しまず活躍しやすくなります。

 

■【解説】Y軸は加速させない方が良い!

一方でY軸は上下のぶれをあらわす加速波形となるため、なるべく加速しない方が良いです。加速しないことすなわち、目線がぶれにくく安定したスイングができている状態だと評価することができます。注意して欲しいのはスイング動作として上下移動自体はしてよいです。ダメなのは加速させるような激しい上下運動が発生すると顔や目線がずれることになるので、スイング時に打ち損じしやすくなるという事なのです。間違えないようにしてください。

 

 

■悪い波形イメージ(スイング6回)

さて、実際に悪いイメージの波形をみて具体的に評価していきましょう。この全体波形を見て、どこが悪いか解説していきます。

 

■評価ポイント6ポイント

①X軸は加速しているか(大きく突き出しているか)

評価:弱い

 

②Z軸は加速しているか(大きく突き出しているか)

評価:弱い

 

③Y軸は加速せさずにできているか(なるべく平坦な線になっている事が理想)

評価:できていない(ぶれている)

 

④XとZは同時に加速できているか(バラバラだとパワーロスに繋がる)

評価:同時に加速できていない(特に右から2つ目のスイングがバラバラなのが顕著にでている)

 

⑤スイング間で波形が乱れていないか(無駄な動きが多すぎる可能性、乱れているとパワーロスに繋がる)

評価:乱れている(特にY軸が6回のスイング前から良く動いてしまっている)

 

⑥各スイングの波形は同じようにでているか

(フォームの安定性であり、バラバラならばフォームが固まっていないか、スタミナが足りていない可能性がある)

評価:まだまだ各軸の加速のさせ方が変わってしまっており、力感やフォームは安定しているようには見えない

 

各選手の波形レポートをみるとき、ぜひ理想イメージを手元におきながら確認してみてください!